植物園長の庭(植物由来の薬)
皆さんは、タミフル、キニーネ、アスピリン、モルヒネが植物に由来する薬であることをご存じでしょうか。タミフルはインフルエンザの治療薬ですが、香辛料に使われるトウシキミという植物の果実である「八角(ハッカク)」が原料になっています。
キニーネは、南米アンデス山地に自生するキナの木の樹皮から発見された、マラリアの特効薬です。ヤナギの樹皮からはアスピリン、ケシの実からはモルヒネが発見されており、様々な薬が植物に由来しています。
東山植物園では、約7,000種類の植物を保有しており、これらの資源を学習や研究の場で活用しています。また、自然界で絶滅の恐れがある植物の栽培や、生息域外保全の取り組みを行っています。
今後、これらの植物の中から、新たな薬や、私たちの生活を大きく変える発見があるかも知れません。これらの植物を未来につないでいくこと、生物の多様性保全に寄与することは、植物園の大切な役割です。
京都薬用植物園の「トウシキミ」
植物園長 谷口茂弘