意外と知らないクローン植物。
2019年12月19日(木)
皆さんはクローンと聞いて何を想像しますか。ネズミ、ヒツジ、ウシ・・・・などなど
動物ではまだまだ馴染みの薄いことばですが、植物ではどうでしょうか。
実は意外と身近に存在しています。
その前に植物の性について少し解説します。
生物の繁殖は有性生殖と無性生殖があります。最新植物用語辞典(廣川書店発行)では、有性生殖とは、無性生殖に対していい、2個の配偶子が合体して接合子を作り、それが発育して新しい個体となる生殖の方法。無性生殖とは、有性生殖に対していい、体の一部が分かれて新しい個体を発育する生殖の方法。とあります。
では無性生殖により繁殖している植物には何があるのでしょうか。
それでは一緒に見ていきましょう。
これから紹介する植物は、同じ遺伝子のセット(ゲノム)を持ったクローンです。
【彼岸花:ヒガンバナ/分球により増殖】
【射干:シャガ/ランナー(走出枝)によって増殖】
【日本水仙:ニホンスイセン/分球により増殖】
他にも接ぎ木や挿し木、株分け、組織培養等により、人為的に繁殖している植物も多くあります。
・ソメイヨシノなど桜の園芸品種
【普賢象:フゲンゾウ/接ぎ木・挿し木により増殖】
・洋ラン、バラなど花の園芸品種
・リンゴ、ミカン、イチゴ、ブドウ、コンニャク、サツマイモ、ジャガイモ、シイタケ、ナメコ、ショウガ、ワサビ・・・等々、果物や野菜の栽培品種の多くは、同じ遺伝子のセット(ゲノム)を持ったクローンです。
そのほかにも日本にあるキンモクセイは、雄株しかないため、実をつけません。そのため公園など見かけるキンモクセイは、同じ遺伝子を持ったクローンです。
どうですか。意外と身近にあるでしょ。おいしいものやきれいなものを大量に生産していくうえで、今やクローン技術は欠かせないものになっています。
皆さま、ぜひ植物園で実物をご覧になってください。お待ちしております。
○お知らせ○
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植物園緑地造園係長 太田 幹夫