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家畜になった野生動物たち(本園エリア編)

2019年01月24日(木)

今年の干支は亥年(イノシシ)。昨年来から国内発生している豚(とん)コレラは、家畜ブタとイノシシの両方にウイルスが蔓延しており、早い終息が待たれます。この時期、感染を広げないために、私たちもイノシシ生息地である山林などにむやみに立ち入らないことも防疫の観点から大切です。


このように、イノシシと家畜ブタが共通した疾病に感染することは、種として近縁なためで、イノシシが家畜ブタの祖先種である証でもあります。今回は本園エリアの展示動物で見られる家畜の祖先を巡ってみましょう。


まずはソマリノロバです。「ソマリ」はソマリア地方で「ノロバ」は野生のロバを意味します。かつてアジアからアフリカに生息していたノロバが家畜ロバの先祖種とされていますが、現在、生存するアフリカノロバ最後の野生種がソマリノロバになります。野生個体は極めて少ないことから、絶滅危惧種でも最高ランクの絶滅危急種(CR)にランクされています。家畜としてのロバはウマほど性格が従順でなかったですが、粗食に耐え、剛健で管理がしやすいことから古代から荷物を運ぶなどの使役に使われました。このソマリノロバを飼育展示しているのは日本では当園だけになります。

ソマリノロバ(現在はバードホール奥).jpg


次はミニブタです。先に紹介しましたようにイノシシを家畜化したブタをさらに小型にしたもので、愛玩(ペット)目的に改良されました。家畜動物の用途は、食用、使役用、愛玩用など様々です。


ちなみに、イノシシの子どもはウリ坊と呼ばれる縦縞がありますが、家畜のブタにはそれがありません。なぜでしょう?その理由は、ウリ坊は野生では保護色の役割を果たしますが、家畜ではその必要はないため縞模様がなくなりました。

さらに、家畜のブタには黒色や茶色など突然変異によるカラーバリエーションがありますが、野生下のイノシシで同じことが起きても目立つために生き残れず、結果としてイノシシは地味な褐色で均一化されるようになったのです。

今回は干支にちなんで野生動物と家畜をテーマにしてみました。実際に来園して本物を見てその違いを比較してみてはいかがでしょう。ミニブタは豚コレラの防疫対策ため、現在はバックヤードに隔離中ですので、もうしばらく待って下さいね。次回は北園エリア編です。

ミニブタ(現在は隔離中).jpg

動物園長  黒邉 雅実

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