武家屋敷門 葦の門松制作プロジェクト(前編)
2018年12月07日(金)
❖葦の門松の由来
葦の門松は、1570年、姉川の合戦に信長軍の一員として従軍した兼松又四朗正吉が陣中で正月を迎えたおり、部下に河原に生えていた葦を刈らせ、真竹を切って、質素な門松を立てて武運を祈りました。姉川の合戦は決着がつかなかったが、これに引き続く朝倉攻めは信長軍の大勝利となったため、以来、吉例として兼松家では代々葦の門松で正月を祝ったとのことです。
東山植物園でも故事にならって、毎年正月にこのめずらしい門松を武家屋敷門に立てています。
❖葦の門松制作プロジェクト(メンバー:当植物園植物管理人)
① 平成30年10月23日に庄内川河口から葦を採取しました。その後天日干しを行います。
【束ねて天日干して乾燥させます。】
【穂先もまだ整っていません。】
② 茎を覆っている皮をはいで長さをそろえます。
【皮をはいで長さをそろえます】
【はいだ皮は処分。かなりの量があるでしょ。】
【葦の切り口 これがヨシの随です。】
"ヨシの髄から天井をのぞく"のヨシの髄とはこの穴のことです。意味は「全体を見ずに自分の狭い見識に基づいて、かってに判断すること」のたとえです。
❖ここに注目
葦はイネ科ヨシ属の植物です。なぜかアシ属ではなくヨシ属になっています。
ところでアシと言ったり、ヨシと言ったり、どちらが正しいのでしょうか。植物図鑑ではアシになっていますから正式にはアシが正解でしょう。ただし(ヨシ)となっていますので、ヨシでも間違いではありません。これはアシ="悪し"に通じるのでヨシ="良し"とも呼ばれるようになったようです。
夏に日よけに使う"よしず"は葦で作られています。やはりヨシになっています。
葦の門松制作プロジェクト(後編)では、いよいよ葦の門松が立ち上がります。
○お知らせ○
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植物園緑地造園係長 太田 幹夫