Now Loading...

Now Loading...

サイト内検索

文字サイズ

オフィシャルブログ

もっと知りたい重要文化財温室前館

2014年11月30日(日)

先日、名古屋市庁舎と愛知県庁舎が、国の重要文化財に指定されるとの発表がありました。市庁舎は昭和8年、県庁舎は昭和13年の建築です。

東山動植物園にも、ほぼ同じ時期に建築された重要文化財があることをご存知ですか?

そうです、昭和11年(1936年)に建築された植物園の温室前館です。現存する公共施設の温室では、日本で最も古い歴史があります。ちなみに東区の筒井小学校(登録地域建造物資産)や、港区役所のすぐ南にある平和橋(認定地域建造物資産)、意外なところでは東京の国会議事堂、これらも昭和11年にできた建造物なんですよ。

今回は、重要文化財の東山動植物園温室前館の建築にまつわるお話を3つ。

Q1:なぜドーム型なのですか?

 温室の中に入ると、ドーム型は見た目にも柔らかく、いかにも温室らしい快適な感じがします。東山動植物園温室前館のモデルになったといわれる英国王立植物園キューガーデンの「パームハウス」など、展示温室によく見られるタイプです。
また、ドーム型と箱型を比べると、同じ容積ならドーム型の方が表面積が小さいので、熱が逃げにくく蓄熱効果が高くなります。寒い外気から熱帯の植物を守り、効率的に温室を温めるにはドーム型が有利ということですね。



重要文化財の温室(手前に並んだ温室5棟)



英国王立植物園キューガーデン「パームハウス」



一圓俊郎氏(昭和12年頃)


Q2:設計したのは誰ですか?

 温室前館の設計者は、当時の名古屋市土木部建築課に採用されたばかりの若手技術者、一圓俊郎(いちえんしゅんろう)氏。市の関係者の間では、親しみを込めて“いちえんさん”と呼んでいます。
東京帝国大学で建築学を学んだ一圓さんは、温室の設計に当たり、当時の最新技術だった発光放電による溶接技術(アーク溶接)を導入しました。断面がL型のアングル材(鉄骨)を組み合せて溶接し、柱や梁などの構造材として建築する工法です。




鉄骨組みの様子



Q3:どうして溶接工法にしたの?

 温室の中で植物が元気に育つためには、太陽の光が必要です。そこで一圓さんは、
“細いアングル材を溶接して組み立てることにより、光を遮るプレート板などの部材が必要なくなる。少しでも多くの光が植物に届く温室にしよう!”と考え、溶接工法を採用したようです。温室で育つ植物への思いが伝わってきますね。

現在、重要文化財温室前館は、老朽化した鉄骨等の修理や耐震補強を目的に、保存修理工事を行っています。ハワイアン温室など5棟の温室は今までどおり観覧できますので、温かい温室の中で咲いている色あざやかな花や植物をぜひ見に来てください。


再生整備課(植物園)  堀 透

ブログ一覧へ戻る

最新の記事

カテゴリーリスト

top