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オフィシャルブログ

ありがとう、ネオ

2024年03月30日(土)

3月14日にスマトラオランウータンのネオが亡くなりました。
昨年の8月頃から体調を崩し、闘病中にはたくさんの方に応援や励ましのお声をかけて頂きました。
ネオの事を最後まで応援してくださった皆さま、献花台に足を運んでくださった皆さま、ありがとうございました。

今から9年前、45歳のネオに初めて出会ったとき、朗らかでのんびりとした雰囲気の妹のアキとは対照的で、気品があって少し厳しい雰囲気のネオと接することに、はじめは少しドキドキしました。
夜間のベッドの材料として使っていた段ボールを朝受け取るときや少し段ボールが格子に引っかかって出なかったりするときに、こちらが手伝おうとすると怒られてしまったり、
餌を渡すときにも怒られてしまうことがありました。
それでも、毎日の生活の中で会話を重ねていくうちに、
「ネオさん、ここの引っかかっている段ボール、手伝ってもいいですか?」
など、こちらが伝えると、ちゃんと納得してくれて、
"こんなにも伝わるんだ。会話ができるんだ。"と感動しました。
昨年引越しした、新オランウータン舎の建設中には、新しい寝室の動画を見せては、
「ここがハンモックで、ここに水飲みがあって、このはしごを登ってシュートに上がるんだよ。」と説明すると、興味を持って見てくれていました。
引越し用の輸送箱に入る練習も、
「ネオさん、(輸送箱の)扉を閉めてもいいですか?」
「(輸送箱の)カギをかけてくるので、少しここで待っていてくださいね。」
など、ひとつひとつの事を理解し、納得してくれて、ネオの賢さや落ち着きに本当にたくさん助けてもらいました。
体調を崩してからは、
「このみかんは薄皮を剥いて欲しい」などの意思表示を分かりやすくしてくれて、
移動が難しくなったとき用にと準備した体圧分散マットつきのタイヤベッドもすぐに気に入ってくれて、
体調が悪化して食べられるものが少なくなったときも、自分のベッドを汚したくないきれい好きのネオは健在で、食べない物は返してくれました。
時には、「これは食べたくないんだ!」と怒られることもありましたが、
口の周りが汚れたときに、口を拭いてと口を差し出してきてくれたり、
頭の後ろや、背中をかいてと頭を差し出してきてくれたり、
大変な闘病生活だっただろうに、本当にありがたい経験をたくさんさせてくれました。
54年間にもおよぶ東山での人生、私の知らないこと、想像もつかないようなこともたくさんあったかと思いますが、
最期は眠るように静かに旅立っていきました。
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9年前に出会った時から、"自分の目で観察して、自分の意志で決める"ネオの姿勢は私の憧れで、どこか目標にしているところもありました。
ネオに教えてもらった"相手に敬意をもって接することで生まれる関係性の素晴らしさ"を大切に、これからも飼育員として精進していこうと思います。

ネオさん、ありがとう。安らかに。

動物園 飼育第二係 武田 梓

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