ゴリラ近況 アニーとアイの同居の章
人工哺育中のアニー(メス1歳)を群れに戻すための過程として、まずアニーと母親のアイ(メス11歳)の2頭同居を始めました。
同居にあたり、5月12日にアイを群れから分離しました。
そして5月26日、アイが単独で生活する環境に慣れ、落ち着きを取り戻してきたので、いよいよアニーをアイと同じ部屋に入れる試みを始めました。
アイの部屋の扉には、体の小さいアニーだけが通過できる約40cm四方の出入り口があります。
これを開放し、アニーの意思で自由に行き来できるようにしておきます。
アニーには日頃から、この小さい出入り口を通過する訓練を行ってきましたので、その日もちゅうちょすることなくスイスイとくぐり抜けて、アイの部屋へと入っていきました。
国内外の動物園でこれまでに行われたこどもゴリラの群れ復帰の例から、ふつう、おとなゴリラはこどもゴリラに危害を加えないことがわかっています。
また、これまでアニーは毎日他のゴリラたちと格子越しに対面してきており、その様子からも危険はないと判断したのですが、アニーがアイの部屋に入っていったその瞬間は、どきりとし、見ているこちらの体が固くなってしまいました。
結果はやはり予想通り、アイはアニーに危害を加えることはありませんでした。
初日は約90分間の同居中に接触は見られず、お互いに様子見といったところだったでしょうか。
それでもとりあえず峠をひとつ越えることができ、ほっとしました。
翌日にはアイがアニーに軽くタッチするように接触し、その後、同居の時間を延ばしていくに従い、接触も増えています。皆さんにお見せできる日は近いと思います。もうしばらくお待ちください。
動物園飼育第二係 澁谷 康