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瑠璃色の実を求めて(クサギ、ノブドウ、シャリンバイ)
2026年10月06日(火)
クサギ(Clerodendrum trichotomum Thunb. シソ科)
植物園に配属された若いころ、植物のことを知らなくて、植物園内の植物の数に圧倒され呆然となっていました。
でも、初めて見たクサギの花と実に救われました。いつもの姿とは異なる、予想もしていなかった花の形と実の色の美しさに魅了され、植物の奥深さを感じて、「好きな花から覚えていけばいいんだ!」と一種の割り切りができ、心が軽くなったのです。
「好きこそ物の上手なれ」ではありませんが、好きなことは労苦を惜しまずにできますから、クサギと同じ仲間のクレロデンドルムやクマツヅラ科(当時)の植物から観察していき、植物の世界に入りました。「千里の道も一歩から」ですが、「千里」はいつまでも遠く近づきません。
さて、このクサギ。花は、赤く色づいた「がく」からちょいと伸びて咲きます。そして、咲いた後の「がく」の真ん中に宝物のように隠れた瑠璃色の実があるのです。

やがて「がく」は反り返って、瑠璃色と赤色の神秘的かつ怪しげな感じが際立ってきます。この感じは鳥も好むようで、実が遠くまで運ばれていくそうです。鳥に運ばれる実は、いろいろなところで発芽しますので園内各地にクサギが生えていますが、花(終わりがけ)と実がきれいに見られたのは「植物園門横」、「万葉の散歩道」の尾根筋でした。
もう一つ、「瑠璃色」で外せない実は、ノブドウ(Ampelopsis glandulosa (Wall.) Momiy. var. heterophylla (Thunb.) Momiy. ブドウ科)!
全国各地の山野で見られるつる植物ですが、こちらも美しい色の実なのです。実(み)は、虫がついたために大きくなった虫こぶとのことで、虫のつかない実はほとんど発見できないそうです。虫さんのおかげで色づきはさまざま。見ていてうっとりしますが、「虫...」とちょっと引いてしまった女子あるあるの記憶です。
なお、花は緑色で目立ちません。まきづるでほかの植物に絡まって繁茂します。
「源氏の庭」で見つけ写真を撮りました。
そしてシャリンバイ(Rhaphiolepis indica (L.)Lindl. ex Ker var. umbellata (Thunb.) H. Ohashi バラ科)。

6月に梅のような白い花を咲かせますが、実もステキです。直径1㎝くらいの割と大きな実をつけます。
シャリンバイは、昔、車いすの祖母と一緒に近くの公園で花をめでた、忘れられない植物の1つで、その時期はしばし立ち止まって眺めてしまう花です。意識することなくシャリンバイの花の時期や形、赤い葉を覚えているのです。エピソード記憶(「個人が経験した出来事に関する記憶」)のある植物は簡単に忘れられないので、植物に関連した思い出を多く作ることも、「千里」に近づく方法の1つかもしれませんね。
樹皮や根にタンニンが含まれるため、奄美大島の大島紬には褐色の染料として用いられるそうです。
「星が丘門」から坂を少し下った左手の岩場に植えてあります。
植物の名前や特徴を覚えるために必要なのは、根気と時間でしょうか。
私はやっぱり、どれくらい植物と関わったかという「思い出」かな、と思ってしまいます。
引用文献
朝日新聞社(1997)「朝日百科 植物の世界」4巻 4-18
朝日新聞社(1997)「朝日百科 植物の世界」5巻 5-143
エピソード記憶 - 脳科学辞典
クサギ(臭木)(シソ科クサギ属)|野田市ホームページ
植物園 大橋
