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季節は秋へ ナンバンギセル(宿根草園)
新人の頃、農業センターで農作業での暑さに参っていたころ、先輩から「お盆を過ぎたら、日陰に行けば涼しさが感じられるようになるよ」と言われ、とりあえずの目標として「お盆までは我慢しよう」と歯を食いしばったことがありました。
当時の夏はこれほどの猛暑ではありませんでしたが、先輩の言葉通りに、お盆を過ぎたら暑さは少し和らぎ体が楽になっていきました。
それ以来、お盆の時期を夏の一区切りと考えるようになりました。
そんなことを思いながら、お盆後の秋の気配を探しにススキを眺めていたら、「おや、いるじゃん!」。
ススキの根元にナンバンギセルを見つけましたよ。

緑色の葉はススキの葉で、黄土色の花の茎が伸びています。
でも、この花茎を下にたどっても茎や葉が見つかりません。光合成をするには緑色の部分がないと...と不思議に思うことでしょうが、ナンバンギセルはススキの根に寄生して暮らしていて、ススキがつくった養分をもらっているのです。
おー、なんてずるがしこい!省エネだ!
寄生植物は、別の植物に自らの根を食い込ませて生きています。ナンバンギセルはハマウツボ科の植物で、この科は寄生する種が多いそうです。
サクラの栽培品種の「染井吉野」など、園芸の世界では接ぎ木という栽培技術で生産される植物は多いですよね。
接ぎ木と寄生の仕組みは似ていて、どちらも異なる植物同士の組織を結合させて、その組織の間で栄養をやり取りする経路を作るという2つの重要な特徴をもっているそうです。接ぎ木は種の近い仲間同士で行いますが、「寄生植物は自然界で遠縁の植物と自分の『接ぎ木』をしているようなもの」ですから、事情が異なります。
よく、宿主は攻撃もせずに組織結合や栄養補給のパイプ作成をさせてくれますよね。不思議です。
寄生植物は、花を咲かせる植物(被子植物)の約1%、4,000種以上もいるそうです。
有名なのは、世界一大きな花を咲かせる「ラフレシア」でしょうか。こちらは、ブドウ科の「テトラスティグマ」という、つる植物に寄生しています。種子からの栽培などが難しいため、植物園に行けば観察できるというわけにはいきません。しかし、人工栽培に成功したという報告があるため、将来、身近な植物園でも見られる日が来るかもしれませんね。
ナンバンギセル Aeginetia indica L. ハマウツボ科
花後に種子をたくさん実らせる。宿主(ススキなど)の根の部分に種をまくことで容易に増殖できる。
引用文献:
若竹崇雅(2025)「寄生植物は宿主にどう入り込むのか?」
https://bsw3.naist.jp/bsedge/0030.html
植物園 大橋
