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この時期に咲く花 ミソハギ(圭介の庭、也有園、湿地園)
お盆休みが近くなると、スーパーでよく見かける花はキク、ホオズキ、ミソハギでしょうか。
少し宗教色が出てしまいますが、ミソハギはお盆の花として私の中で定着しています。
大切な人が亡くなった初盆の儀式で見かけたからかもしれません。
ミソハギが湿地の植物だと知ったのは、東山植物園に勤務してからです。
ああ、こういうところに咲くのか...と少し感慨深くなりました。普段は故人を忘れて過ごしていますが、ミソハギが咲くこの時期は、しんみりと心残りな時間が多くなります。

也有園で咲いているミソハギ
今朝の湿地園は、先日紹介したサギソウがとてもきれいに咲いていて、その近くには、尾っぽの形のヌマトラノオ、ミズギボウシ、もうじき膨らむシラタマホシクサなどの白色の花が目立ちました。
その緑と白の湿地の中で目立つのが赤紫色のミソハギの花です。
ミソハギとサギソウ

ヌマトラノオ
小さな花が長い茎にびっしりとついています。
伊藤圭介の著書「泰西本草名疎(たいせいほんぞうめいそ)」での分類*は第11綱(おしべは12本以上19本以下)で、よく観察するとおしべの多さがわかります。目で見える分類法はわかりやすいですが今は使われておらず、現在は遺伝子による解析が進み分類法も学名もそれに合わせて変化しています。
*名古屋出身で日本初の理学博士、伊藤(いとう)圭介(けいすけ)(1803-1901)は、「泰西本草名疎」という本の中で、学名とリンネの植物分類法を日本で初めて紹介しました(1829年)。
<学名>
世界共通の生物の名前で、1つの学名に1つの植物種が対応しています。リンネが考案したもので、属と種小名の2つをラテン語で列記する二名法(binomial nomenclature)です。さらに、命名者の名前を記載します。ミソハギの学名Lythrum anceps (Koehne) Makinoを例にとると、Lythrumは属名、ancepsが種小名、(Koehne)Makinoが命名者です。(Koehne)は最初の命名者で、後にMakinoによって属名がLythrumに変更したことがわかります。命名者を見れば植物の研究の歴史がのぞけますね。
この二名法は、その後の植物の命名法の出発点となり、国際植物命名規約の基準とされて現在に引き継がれています。
伊藤圭介の生きた時代は、植物の名前に複数の呼び名があり、医者であった圭介は薬となる植物の名前を明確にし、誤用を避けたかったのだろうと考えられます。
<リンネの植物分類法>
これを紹介するために伊藤圭介は、おしべ、めしべ、花粉という言葉を作りました。
リンネは、植物をおしべとめしべの数や形に基づいて区分し、当時知られていた植物を7,700種に分類しました。
さあ、伊藤圭介さんを味方に、ミソハギを購入してお墓に参りますか。
ミソハギ Lythrum anceps (Koehne) Makino
引用文献:
東京大学農学生命科学図書館ウェブページ「東京大学農学部創立125周年記念農学部図書館展示企画 農学部図書館所蔵資料から見る『農学教育の流れ』36. Genera plantarum. 9th ed. リンネ (Carl von Linne) 1767」https://www.lib.a.u-tokyo.ac.jp/tenji/125/35_36_37.html
露崎史朗
https://hosho.ees.hokudai.ac.jp/tsuyu/top/dct/nomen-j.html
溝田浩二(2004)「門外漢のための 『学名』のはなし」化学と生物 42(2) https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/42/2/42_2_99/_pdf
三浦重徳(2021)「圭介の庭ガイドブック」
植物園 大橋
