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シュークリームの中の黒いつぶつぶ...バニラ(重要文化財温室前館「香りの有用植物室」)
2026年06月24日(水)
子どものころ、シュークリームを作るためにスーパーに行って手に入ったのはバニラエッセンスだけでした。
大人になって、洋菓子店で買い求めたシュークリームの中に、黒い小さな点のような種子を見つけたときは、「なんだ?この黒い粒は?」が感想で、箱の外に貼られていたシール(「クリームの中の小さな黒い粒はバニラの種です」と書かれていた)を読んではじめて、あのバニラエッセンスは、人工的な香りだったのか...と認識しました。
バニラエッセンスの香りは、私にとっては昭和の香りがするものの1つです。
誰もが知っている甘い香り。お菓子作りには欠かせないバニラビーンズ。
バニラビーンズは、今ではスーパーでも販売されているので、現物とその香りをご存じの方も多いでしょう。
もちろん、バニラというランの花が咲いた後にできる実(果実)のことです。この実の中に細かーいつぶつぶの種(種子)が入っています。
温室前館の「香りの有用植物室」でバニラの花が咲いています。
黄緑色の花であまり目立ちません。花には甘い香りはなく実が黒く発酵すると、おいしいお菓子の香りになります。(花は午後にはしぼんでしまいます。)
バニラはラン科の植物ですので、種子は埃のように小さいです。
花は、ラン科の特徴である、左右相称、がく片(花弁の外側にある)と花弁(花びら)は各3枚ずつ、そのうち真ん中の花弁(リップ)は唇のような形、を持っています。6.ランの花 セルフガイドシート 様式:PDF(617KB) (温室後館は閉鎖中ですので、ラン科の花は咲いたら温室前館に展示しています。)
ラン科の種子が細かいのは、風に舞って散布を広げるための戦略だとか。
しかし、種子がとても小さいため、他の種子が持っている、栄養を貯蔵するところがありません。このため、ランの種子が風に舞い、たどり着いた先で発芽するには、蘭菌が必要だそうです。菌と共生して栄養分をもらっているのです。
シュークリームやプリンなど、お菓子の中にバニラビーンズの黒い種子が入っていたら、ラン科の種子の小ささと蘭菌との共生を思い浮かべてみてください。甘い香りの中にそのしたたかさが見えるかも。
バニラ Vanilla planifolia Andr. ラン科 つる性の着生ラン
引用文献:共生菌がランの多様化をもたらした | 国立科学博物館 National Museum of Nature and Science,Tokyo
植物園 大橋
