市街地に現れたニホンカモシカ

2026年05月23日(土)


少し前のことですが、4月22日の夕方から名古屋市内にニホンカモシカが現れて話題となりました。最近では市内でもタヌキやキツネの生息が徐々に増えていますが、二ホンカモシカにあっては、名古屋市北部の山地でわずかに目撃された程度で、まだ決して身近な野生動物になったとは言い難い。しかし、昨年のちょうど今頃にも名東区の公園に現れたことがありました。山間部の地域では、野生のシカが増えてエサなどの競合が生じ、追い出されるように市街地に出没しているとのことで、同様の変化が名古屋市近郊の自然でも起き始めているのでしょうか。

このカモシカは、市街地付近(昭和区)の林にしばらく停滞していましたが、その後は海に近い工業地帯の広がる方向に南下してしまい、最後は列車と接触して動けなくなって保護されました。ニホンカモシカは国の特別天然記念物で、大きなケガを負っているということでしたので、東山動植物園の動物病院で一時的に応急処置をすることとしました。しかし、到着した時にはすでに呼吸は止まっていて、CT検査の結果では、骨盤部に重度の骨折と肺挫傷が見られ、とても残念な結末となりました。

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動物園としては、野生動物が市街地に迷い込んでしまった時には、本来の生息場所へ無事に帰り着くことを見守るスタンスでいます。しかし、今回のカモシカはどうやら都会のざわめきで森への帰り道を見失ってしまったようです。野生動物が身近に現れたとしても、人に直接的な被害が起きそうな場合は別として、ちゃんと元の森に帰ることができるよう帰り道を塞いでしまわないようにして、そっと静かに見守ってほしいと思います。

動物園長 茶谷公一

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