【ボリビアからの便り】飼育スタッフの活動報告

2026年05月19日(火)

現在、当園の飼育スタッフが一名休職し、JICA海外協力隊としてボリビアへ赴任しています。先日、彼女から現地での活動報告が届きました。
限られた資材や言葉の壁、文化の違いといった環境のなかでも、現地のスタッフと協力しながら、アニマルウェルフェアの向上に真摯に向き合っている様子がうかがえました。

大変意義深い内容でしたので、本人の了解のもと、送られてきた文章をご紹介することにいたしました。

遠く離れたボリビアの地からの便りを、どうぞご覧ください。


――以下、現地からの報告内容となります――

現在、私は東山での仕事を一時お休みし、JICA海外協力隊として南米のボリビアで活動しています。ボリビアの南部、アルゼンチンとの国境を有するタリハ県タリハ市の「Bioparque Urbano(ビオパルケ・ウルバーノ)」という市の施設で活動中です。

画像01.JPG

ビオパルケの総面積は約26ha、敷地内は市の野生動植物保護地区に指定されており、この地域特有の樹木が自生し多くの鳥類が生息しています。都市部にありながらこの地域の自然環境に触れることができる都市公園のような場所です。

画像02.JPG

画像03.jpg
また、ボリビア南部地域において唯一の野生動物保護センターという役割も担っており、ケガや病気で保護されたり違法な取り引きや飼育により警察に摘発・保護された野生動物などを受け入れて飼育し、一般に公開している施設でもあります。


現在飼育されている動物はジャガーやピューマ、オセロット、アンデスコンドル、クモザル、フサオマキザル、ペッカリー、ボウシインコやコンゴウインコ、オニオオハシ、アルマジロ、リクガメなど約23種120個体以上。そのうちジャガーなど一部の動物は施設の前身である市立動物園時代から飼育されている個体ですが、それ以外はほとんどが保護動物で、大部分は違法に飼育・所持されていたところを警察に保護されてやってきた個体です。ペットとして飼っていたけれどもう飼えないから、と連れて来られた動物を受け入れる場合もあります。

画像04.jpg画像05.jpg画像06.jpg画像07.jpg
私は環境教育という職種での派遣ではありますが、東山での飼育経験を活かし、動物の飼育環境や飼育管理の向上にも取り組んでいます。一部を簡単にご紹介すると、

・フサオマキザルの飼育室に渡り木や休憩台を設置(写真左が改善作業実施前、右が実施後)

画像08.jpg
・採食時に小競り合いの多かったコンゴウインコたちの給餌台の形状を改善(左:実施前→右:実施後)

画像09.jpg
・動物の導入時の獣舎整備のアドバイスやアイデア共有(写真はクモザル舎。左:整備前→右:整備後)

画像10.jpg

・クレートトレーニングを紹介し、よりストレスの少ない方法で動物の移動を実施

画像11.jpg
・消防ホースを使った獣舎整備やエンリッチメントなどを紹介し、同僚と不要な消防ホースを探して譲ってもらい、獣舎の環境整備を実施

画像12.jpg
などです。

こちらへ来てすでに1年4か月あまり、これまでこれらの活動を行ってきましたが、日本では当たり前に使えた工具や材料がなく、ちょっとした作業でもなかなか思うように進みません。園内で倒れた大木を鉈で切って担いで運んで...をひたすら繰り返したり、道で廃材を拾ってきたり。今でも日本での恵まれた環境を実感させられる日々です。


また、この地ならではの野生動物と接する機会もしばしばあります。ここタリハはアンデスコンドルの生息地で、民家の庭に迷い込んだ巣立ち直後のコンドルをしばらく保護したのち、生息地の山へ放鳥する作業に同行させてもらいました。山では上空を飛ぶコンドルを、道中の湖では野生のフラミンゴを見ることができ、とても感動しました。ビオパルケの園内では野生のヒメコンドルやカラカラがよく飛んでいますし、市街地でもしばしばハチドリやボウシインコ、オキナインコが見られます。今は保護されてきたオポッサムの子を人工哺育中です。

画像13.jpg

アンデスコンドルの放鳥

画像14.jpg

野生のフラミンゴ

画像15.JPGオポッサム


私の語学力不足でうまく意思を伝えられなかったり(ボリビアのメインの公用語はスペイン語です)、ボリビアの人たちののんびりした仕事の進め方や急な方針変更に翻弄されたり...となかなか思うように活動が進められないことも多いですが、配属先の同僚たちには温かく受け入れてもらっており、試行錯誤しながらも充実した日々を過ごしています。

ボリビアのこと、ビオパルケの動物たちのこと、日々の活動のことなど、とてもこの場だけではお伝えしきれませんが、JICA海外協力隊のブログサイト「世界日記」内のボリビア便りというところで私もいくつか記事を書いていますので、ぜひそちらも見ていただければと思います。特に#143の記事は日本の皆さんにも知っていただきたい内容ですので、お読みいただけると嬉しいです。

#60鳥類学会に参加し、コンドルを見てきました!

#108【ボランティアデー⑤】環境・農業ブース編

#143ボリビアの野生動物保護センターで思うこと

「世界日記」は世界各地で活動中の隊員が日常を紹介しており、各国の様子が書かれていて読み応えがあります。ぜひ様々な隊員の記事にも目を通してみてください。

 JICA海外協力隊の世界日記:https://world-diary.jica.go.jp/

 ボリビア便り:https://world-diary.jica.go.jp/JICA_Bolivia/

それでは、また。Hasta luego!


――ここまで――


動物園 江口

ブログ一覧へ戻る

最新の記事