シャバーニの1:√2

2026年04月16日(木)

東山動植物園のニシローランドゴリラの施設には、いつも通りたくさんの来園者で賑わっています。しかし、最近はちょっとその雰囲気が違っています。

2015年から東山動植物園のシャバーニはその凛々しい顔つきやシルバーバックの威厳ある姿が話題になり、日本だけでなく世界からも注目されました。シャバーニにはふたり(2頭)のコドモがいるのですが、オスのキヨマサがたくましく成長し、最近ではシャバーニとすぐに見分けがつかないほどそっくりに。日本だけでなく海外(台湾)のメディアでも話題となっていて、その姿やトマトを優雅にひと投げしてから食べるしぐさが「猩猩界的木村拓哉(訳:ゴリラ界のキムタク)」と報道されるほどで、どうやら新しい人気者が誕生しそうです。

ゴリラ・チンパンジー舎の建築中、観覧通路にあるゴリラの造形物を制作しているときのことです。シャバーニに似た顔にしたいと思い、目や鼻などパーツの寸法を測定(写真を使って)していて気づいたことがありました。鼻から顎までの長さと、額から鼻までの長さの比率が、1:√2だったのです。この比率は「白銀比」または「大和比」といって、ヒトが美しいと感じる比率のひとつ。とくに日本人にとってなじみ深く好まれるものだそうです。最初に作成された造形はとてもシャバーニとは言い難いものでしたが、この比率で顔を修正してもらったところ、その顔立ちはちゃんとシャバーニになりました。多くの人に愛される秘密がこの比率にあるのかもしれません。キヨマサも今年で14歳。立派なシルバーバックになりつつありますが、まだまだ幼さも残り、相変わらず「いつものキヨマサだよな」と思いながら成長を見守っています。

動物園で飼育している野生動物は「自然からの預かりもの」です。動物園は動物をアイドル化することはしないし、ニシローランドゴリラをはじめ野生動物を種として見て欲しいという思いはあります。しかし、特定の個体が注目され、彼らが「野生からのアンバサダー」として野生のことや自然の大切さを伝えられるのなら、皆さんからの応援は大歓迎です。

4月19日は飼育の日。飼育係の仕事内容を通して動物園・水族館に興味を持ってもらうことを目的に(公社)日本動物園水族館協会が定めました。東山でもこの日には飼育担当者のアニマルトークなどを行いますのでお楽しみに。

動物園長 茶谷公一

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