コアラの止まり木が新しくなりました。
9月28日~10月2日、4年に1度行っている止まり木の交換工事を行い、コアラたちが暮らす木が新しくなりました。簡単にですが工事の様子をご紹介します。
交換前の様子です。
4年間ここでいろんなことがあったなぁと、ちょっと感慨深いです。
【交換前】
工事が始まり、まずは今まで使っていた木と表面の土が撤去されていきます。
【撤去作業中】
撤去作業が完了したところ。
実は土の下には穴があり、そこに木が立てられています。
ここまでで1日半かかりました。
次に新しい木の設置が始まります。
木を搬入し、穴にどんどん立て込んでいきます。太いもの・細いものがあまり偏りすぎないようにバランスを見ながら配置し、向きを調整します。穴の位置は決まっているため木の位置は今までと同じですが、使う木の枝振りや太さによって結構雰囲気が変わります。使用する木は事前に下見はするものの、自然の木なので実際に設置してみないとどのようになるのかわからないのが難しいところです。
【立て込み作業】
【新しい木を運搬中】
ちなみに同じ建物の中にはコアラたちがいるため、室内では重機や大きな音が出る機械はできるだけ使用せず、たくさんの人の力を借りて作業をしてもらっています。
木をしっかりと固定して新しい土を入れてもらったら、ここからは飼育担当者の仕事です。コアラたちがどんな風に使うかを想像しながら、枝と枝をつないで横方向にも木を渡していきます。
【横木の設置作業】
基本的には木の又に横木をかけていくのですが、必ずしも都合のいい場所に又があるわけではなく...。強度などの安全面や観覧通路からの見え方なども考慮しつつ、木の形に合わせて「ああでもない、こうでもない」と、いろいろと試しながら場所を決め、固定していきます。
最後に、ユーカリを入れる筒を設置します。コアラが食べやすい位置や高さを考えながら場所を決めていきますが、ほんのちょっとした木の出っ張りが引っかかったり、木の節が硬くて金具が付かなかったりと、これもなかなかすんなりとはいってくれないのです...。
【筒の設置】
筒をつけ終わると、消毒や清掃をし、金具の飛び出しやぐらつきがないかなどの最終チェックをして作業は終わり。コアラたちを部屋に戻し、不具合や危険がないか行動を観察して終了です!
自然の木を使うため、なかなか思ったとおりには行かない難しさはありますが、交換ごとに少し雰囲気が変わり、コアラたちが予想外の使い方をしてくれたりするところは自然の木ならではのおもしろさだなと思います。
時間的な制約もあり、ひとまずコアラたちが過ごすのに最低限の状態を整えて工事は終了しましたが、今後もコアラたちの行動を見ながら必要なところは少しずつ修正や増設をしていく予定です。今はまだコアラたちも新居に慣れておらず緊張気味なので、しばらくは静かな環境を整え、まずはリラックスして過ごしてもらえるようにしたいと思っています。
また、クレメンツ(メス・22歳)についてですが、クレメンツは高齢なため、今後様々なケアが必要になってくる可能性があります。そのため、私たち職員がまめに目を配ることができる場所へ部屋を変更しました。また、年齢と共に足腰が弱くなってきており、万が一の落下に備えて低めの木の組み方にしたため、観覧通路からは姿が見えづらい位置になってしまったと思います。クレメンツの様子を気にかけてくださっている方も多く、心苦しいのですが、クレメンツの老後生活をあたたかく見守っていただければと思います。時々はブログなどでも様子をお伝えしますね。
【新居でのクレメンツ】
新しい止まり木になって20日あまり。動きも増えてきて、徐々にコアラたちの緊張もほぐれてきたようです。もう少しするとそれぞれに落ち着く場所を見つけて、のんびりと過ごす姿を見せてくれるのではないでしょうか。
動物園飼育第一係 山部桂子