ホッキョクグマ「サスカッチ」の状態について
体調管理のため観覧を中止していたホッキョクグマのサスカッチ(オス、推定30歳)ですが、たくさんの心配のお声をいただきありがとうございます。
この場を借りてあらためて改めてお礼を述べさせていただくとともに、これまでの経過と近況を報告させていただきたいと思います。
サスカッチは今年の1月中旬から食欲が大幅に減少してきたため、投薬治療を開始しました。麻酔をかけて検査して、詳しく原因を究明することも選択肢にありましたが、高齢で麻酔のリスクが高いため、しばらく投薬で様子を見ることとしました。しかしながら、食欲が一時的に回復することがあるものの、なかなか良い状態には戻りませんでした。
また、以前より陰嚢が大きくなっていることは把握していたのですが、寝ていることが多くなったこともあってか2月中旬に陰嚢をどこかにひどく擦ってしまい、結構な出血があったため、リスク承知で麻酔をかけて治療することとしました。
傷の治療と同時に大きくなった精巣を摘出することにしました。弱っているとはいえ危険な動物ですし、体が大きいため、大変な手術でしたが、手術は無事成功しました。
その後の検査で陰嚢が腫れていた原因が精巣の腫瘍であることもわかりました。これが原因で元気がなかったことも考えられますが、血液検査の結果から他にも基礎疾患があることが窺えましたので、今後も継続して投薬治療していく方針です。
傷が痛々しい状況であったため、目隠しをして展示中止とさせていただいていましたが、傷口が回復してきたため、今週からは目隠しを外し、遠目ではありますが中の様子を覗いていただけるようにさせていただきました。
まだまだ本調子とは程遠い状態ですので、暖かい目で見守っていただけると幸いです。
飼育第一係 江口 雄作