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おかしな形の花(巧みな受粉戦略)

2009年12月06日(日)

これは何でしょうか?





大きな口に白い毛がいっぱい生えています。鯨の口のようにも、オオハシ(鳥)のクチバシのようにもみえますが…。
実は、南米原産のアリストロキア・リンゲンスというウマノスズクサ科植物の花の一部です。
植物園温室の東花卉室で咲き始めました。まだ咲き始めたばかりで、これからは下にあるツボミも咲いてきますので、毛の観察もしやすくなると思います。

全体の姿は下の写真のとおり、ながーい咢(ガク)の舷(ゲン)部が鳥のくちばしのように開いています。
雄しべ・雌しべは袋の底にありますので、花粉を媒介する昆虫が花の中深く入って行く必要があります。入り口から硬い毛が内側に向かって密生しています。一度入ると外には出られません。
つぼの中で昆虫が暴れまわるうちに受粉します。その後、毛は萎縮し、昆虫は外に出ていきます。

更に、この昆虫が入る時、雌しべは成熟していますが、雄しべは成熟していません。雄しべが成熟し、花粉が昆虫につくようになると、この硬い毛が萎縮する仕組みのようです。
この昆虫はこの株の花粉をつけて、他の株で新たな受粉を行うことになります。

自家受粉による、遺伝的な多様性の低下を避けるための巧みな受粉戦略には感嘆させられます。



アリストロキア・リンゲンスの花の全体の姿。鳥のクチバシのような形が特徴的。



同じ仲間で、花が大きな、アリストロキア・ギガンティアも咲いていますのでこちらも比べてご覧下さい。



アリストロキア・ギガンティアの花。白い網目が不気味。



植物園長  舟橋 和時

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