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よく似たことば。

2020年12月15日(火)

❖よく似た言葉に「自生」と「野生」があります。
ではどのような違いがあるのでしょうか。
植物学でいう野生という言葉は、自然に山野で生育し、繁殖していることを意味する。これに対して自生とは、人為が関わらない本来の生育地で生育し、繁殖していることを意味する。つまり自生しているものはすべて野生であるが、外来種のように本来の生育地でない場所で繁殖して野生化したものは、野生であるが自生でないことになる。【出典:「桜」勝木俊雄著(岩波新書)】

現在、東山動植物園では約6800種の植物を保有していいます。しかしそれらのほとんどは、自生でも野生でもなく、種子から育てたものや繁殖したもの、他の場所からの移植・導入したものを園内で保有・展示しています。

❖ところで皆さんは絶滅危惧種という言葉を知っていますか。
植物園には絶滅危惧種に指定されている種のマメナシ、ヒトツバタゴ、シデコブシ、シラタマホシクサなども展示してあります。でも本来絶滅危惧種の対象になるのは野生生物であるため、植物園や街路樹、公園に植栽されている絶滅危惧種の個体とは一致しません。このあたりがとてもまぎらわしいところです。

【ヒトツバタゴ/モクセイ科】 植物園門 5月撮影

写真①.jpg

【シラタマホシクサ/ホシクサ科】 湿地園 9月撮影

写真②.jpg

❖固有名詞の樹木

天然記念物に指定されている植物、例えば「三春滝桜」はその個体だけを示す名前であるが、「三春滝桜」から接木苗をつくると、その苗木に対する種類名は「枝垂桜(シダレザクラ)」と呼ばなければならない。【出典:「桜」勝木俊雄著(岩波新書)】

実は植物園にも、あのメンデルの法則で有名な「メンデルの葡萄(ぶどう)」の接ぎ木苗があります。でも前の説明に照らせば、遺伝子は同じでも種類名は「ブドウ」ということになってしまいます。

【メンデルの葡萄(ぶどう)】 洋風庭園

写真③.jpg

そう考えるとやはり本物に変わるものは存在しないということになりますね。まさに唯一無二です。


❖植物園のみどころ

【子福桜(コブクザクラ):バラ科】 也有園

写真④.jpg

【紅葉】 也有園

写真⑤.jpg

「もみじ狩り」は終わりましたが、場所によってはまだ紅葉をお楽しみいただけます。

皆さまのご来園をお待ちしております。

植物園緑地造園係長 太田幹夫

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