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スマトラトラの行く末は・・・

2020年12月12日(土)

  • 動物園長のZooコラム
  • スマトラトラ

早いもので今年も残り20日を切りました。先日、令和2年の最後となる東山再生フォーラムが開催されました。今回のテーマは「スマトラトラ」。東山動植物園では現在2頭をペアで飼育しており、また、再生整備プランにより新トラ舎の整備工事が進んでいます。

再生フォーラム

スマトラトラ【東山で飼育しているスマトラトラ"クンデ"(オス)・"ダマイ"(メス)】

講師は日本動物園水族館協会(JAZA)でスマトラトラ種別計画管理者を担当されている獣医師の吉住和規さん(八木山動物公園フジサキの社)をお招きし、絶滅危惧種でもあるスマトラトラの貴重なお話を伺うことができました。お忙しいなかありがとうございました。

講演の様子.jpg

さて"種別計画管理者"とは何をする人でしょう?日本動物園水族館協会(JAZA)は国際的な視野で活動する団体で、全国149施設の動物園・水族館が加入しています。もちろん当園も所属しています。一つの園館だけではできないこと、例えば"種の保存"を推進するため、同じ種を飼育する複数の動物園・水族館同士が協力して繁殖を進めています。そうした場合に当該種の遺伝的な分析やペアリングのための繁殖プランをつくるための血統管理する人が必要になります。その役割を担っているのが「種別計画管理者」です。

講演では、インドネシア・スマトラ島の生息地でスマトラトラが激減していて、世界の動物園の飼育総数(約400頭)がついに野生生息数(約300頭)を上回ったと紹介されました。その原因には生息地となる森林の破壊や密猟などがあり、さらにその背景にはパーム油の原料となるアブラヤシ農園の拡大があります。パーム油は植物油・ショートニングなどスナック菓子などの原料に使われるなど日本人の私たちも恩恵を受けており無関係ではありません。現地の人たちにとって重要な産業でもあります。まずはアブラヤシという熱帯植物の存在を知り、そしてスマトラトラの行く末を左右する生息地を守ること、さらに地球環境の大切さを考えていただきたいと思います。

向かって右側が吉住氏・左側が私(後ろは新トラ舎の工事現場です)。.jpg【向かって右側が吉住氏・左側が私(後ろは新トラ舎の工事現場です)】

新型コロナ対策と同様に種の保存も経済活動と予防・保全対策とのバランスが大切になります。最後になりましたが、来園者の皆様におかれましても人の集まる機会の多くなる年末、「多人数・大声・長時間」に注意しながら、良い年の瀬をお迎え下さい

動物園長 黒邉雅実

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