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名古屋市内で初確認!ホンゴウソウ

2019年08月31日(土)

東山植物園内の湿地園で、現在まで名古屋市内では生育確認できていなかった"ホンゴウソウ"を確認しました。

 和名 ホンゴウソウ
学名 Sciaphila nana Blume (Sciaphila japonica Makino)
科名 ホンゴウソウ科(Triuridaceae)
生育確認日  令和元年(2019)8月6日(火)
生育確認場所 東山植物園内湿地園
生育確認者  東山植物園 緑地造園係 市野実

"ホンゴウソウ"は葉緑素を持たない腐生植物です。正確には菌従属栄養植物といいます。同じような環境で育つ植物に"ヒナノシャクジョウ"がありますが、この種も東山植物園では確認されていませんでした。"ヒナノシャクジョウ"の確認は"ホンゴウソウ"確認の数日前の7月31日(水)で、写真を撮り後日東山植物園のガイドボランティアで、菌従属栄養植物に詳しい萩原氏に確認をしていただきました。
 "ホンゴウソウ"は極めて小さな植物です。わずか数センチしかありません。"ヒナノシャクジョウ"は白く目立ちますが、"ホンゴウソウ"を偶然見つけることは、よほどの植物好きでない限り無理でしょう。生息域は関東から沖縄で比較的広範囲ですが、湿地などの環境がどんどん失われているため地域により絶滅危惧種に指定されています。
 茎の上部に雄花、下部に雌花を付けます。雌花は球状に見え白っぽいトゲのような柱頭を多数出しています。
 "ヒナノシャクジョウ"は名古屋市の絶滅危惧ⅠA類(CR)、愛知県の絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。"ホンゴウソウ"は名古屋市での生育確認がなかったので、絶滅危惧にはリストアップされていませんが、愛知県の準絶滅危惧(NT)に指定されています。
 "ホンゴウソウ"のような菌従属栄養植物は栽培が極めて困難な植物です。なぜなら人為的に菌と共生する環境を作りだせないからです。東山植物園の湿地園は作られた人工的な湿地園ではありません。観覧しやすいように整備はされていますが、元来東山にあった本物の自然なのです。"ホンゴウソウ"は1902年に植物学者の牧野富太郎によって新種発表されました。発見された三重県楠町本郷に因み"ホンゴウソウ"と名付けられました。同時期に愛知県内でも発見されており、おそらく東山にも自生していたと考えられます。
 "ホンゴウソウ"発見時は数個体しかなく、多くの来園者に見ていただける環境ではありませんでした。しかし作業を進めていく中で多くの個体が見つかり、生育環境も安定していることが確認できました。現在では数十個体確認でき、間近で"ホンゴウソウ"観察していただけます。
 植物園は生きた博物館です。"ホンゴウソウ"を発見できたことは、本物の名古屋の自然がまだ東山植物園にあるということです。名古屋市内に残された限られた自然を"ホンゴウソウ"と共に感じに来てください。小さな小さな"ホンゴウソウ"は生きた博物館の証です。

(リサイズ)ホンゴウソウ1.JPG(リサイズ)ホンゴウソウ2.JPGホンゴウソウ

(リサイズ)ヒナノシャクジョウ.jpg

ヒナノシャクジョウ

植物園緑地造園係 市野 実

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