おばあちゃんコアラのクレメンツ
昨年生まれた姉妹、「こまち」と「りん」がかわいい姿を見せてくれているコアラたちですが、今回は同じコアラ舎で暮らす、おばあちゃんコアラの「クレメンツ」をご紹介したいと思います。
クレメンツは1997年11月にオーストラリアのタロンガ動物園で生まれ、2001年に東山へやってきました。現在の年齢は20歳です。
日本におけるコアラの長寿最高記録は、以前東山で暮らしていたオスの「ラム」の23歳11か月です。世界最高記録が25歳のようなので、あと4か月ほどで21歳になるクレメンツが、コアラとしてはかなりの高齢だということを感じて頂けるでしょうか。
最近のクレメンツですが、高齢ゆえに視力や筋力は弱くなっており、動作もゆっくりです。姿勢を支え続けるのも疲れてくるのか、寝る時も木に真横になるようにもたれていることが増えてきました。長年ユーカリを食べ続けた歯もかなりすり減って短くなっています。それでも、時には木を3メートルほどガシガシと登っていってお気に入りの木の又に座ったり、大好きな種類のユーカリを他のどのコアラよりもたくさん食べて私たちを驚かせたりと、まだまだ元気に過ごしています。若い頃は飼育担当者に対して噛んだり引っかいたりすることもしばしばあったようですが、近年はすっかり穏やかになり、体のチェックを兼ねて毛の手入れやマッサージをしても大人しくしてくれています。特に背中などを掻いてあげると気持ちがいいようで、「んむぅぅ~」とちょっと変な声を出して反応してくれることがあり、こちらもついつい笑ってしまいます。
ちなみにクレメンツのいる部屋は、移動の負担にならないように、あまり高低差をつけずシンプルな木組みにしてあります。観覧通路からはやや距離もあり、ユーカリに埋もれてしまって姿が見えづらいこともあると思いますが、今はできる限り慣れた場所で負担なく、安心して過ごしてもらいたいと考えていますので、どうか温かく見守ってあげてください。
見た目はすっかりおばあちゃんらしくなり、仙人とかヨーダとか...いろいろ言われているクレメンツですが、ゆっくりとマイペースに過ごしている姿は本当にかわいくて、接しているととても癒されます。若くて活発なコアラたちはもちろんかわいらしいですが、年齢を重ねたコアラにもまた違った魅力がありますね。
これからも元気に、クレメンツらしい毎日を過ごしてもらいたいと思います。皆さんもコアラ舎に来られた際には、ぜひクレメンツおばあちゃんの部屋ものぞいてみてください!
動物園飼育第一係 山部 桂子